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Thirty Meter Telescope (TMT)の概要

Thirty Meter Telescope (=30メートル望遠鏡; 略称TMT)は、2024年の稼働開始を目指して建設計画を進めている口径30mの光学赤外線・次世代超大型天体望遠鏡です。 TMTでは、これまで10年間、世界最先端の天文学研究に用いられ活躍してきた口径8.2mすばる望遠鏡をはるかに凌ぐ高解像度と高感度を実現します。それにより、太陽系外惑星の探査や宇宙初期の天体の成り立ちの解明など、新しい天文学の研究分野を切り開きます。

国立天文台TMT推進室では、TMTを海外研究機関(米国・カナダ・中国・インド等)との国際協力によって実現するために、活発な準備活動を進めています。

 TMTの特徴 / TMTのサイエンス / 日本の戦略

(1) 複合鏡と補償光学で抜群の性能をめざす

口径30メートルの光学赤外線望遠鏡

ガリレオが望遠鏡を宇宙にむけてから400年、望遠鏡は大型化の歴史を歩んできました。それにより新たな天体や現象が次々と発見され、人類の宇宙観は塗り替えられてきました。

20 世紀末に登場した、すばる望遠鏡などの8メートル級望遠鏡はその歴史の到達点です。TMTは492枚の複合鏡からなる口径30メートルの望遠鏡です。これにより、光を集める能力でTMTは従来の望遠鏡を10倍以上凌駕し、天体の性質を調べるのに不可欠な分光観測などにおいて圧倒的な力を発揮します。


TMT完成予想図

補償光学によりかつてない高解像力を実現

地上からの観測では、地球の大気によって天体の像が乱されてしまいます。しかし、これを補正する技術・補償光学を用いると、地上からでも大気圏外からの観測と同様に、望遠鏡の限界性能の解像度を得ることができます。TMTは、補償光学を利用することができる赤外線観測においては、30メートルの口径を活かしてハッブル宇宙望遠鏡を10倍以上上回る解像度を実現します。


銀河系中心付近の近赤外線画像。左が補償光学なし、右が補償光学を利用してとられた画像 (ケック望遠鏡による)

国際協力でハワイ・マウナケア山に建設

TMT計画は、日本のほか、米国、カナダ、中国、インドのあわせて5ヶ国の協力で進められています。建設地はすばる望遠鏡も設置されているハワイ・マウナケア山で、2014年に建設が開始しました。


マウナケア山頂の望遠鏡群

すばる望遠鏡との比較

TMTはすばる望遠鏡に比べて、視野の広さ以外はほぼ全ての面で高性能な望遠鏡になる予定です。すばる望遠鏡の視野を活かして興味深い天体を発見し、これを TMTで詳細に調べるといった、「すばる望遠鏡とTMTの連携」が期待されています。

すばるTMT
口径8.2メートル30メートル
集光力52.8平方メートル707平方メートル
解像度(補償光学使用時)0.03秒角0.008秒角
相対感度1179倍
視野1.5度0.25度
重量550トン〜2000トン

(2) TMTが切り拓く新たな宇宙像

太陽系外惑星に生命の存在を探る

太陽以外の星のまわりにも惑星があるのか―20 世紀末の太陽系外惑星の発見により、この長年の問いに答えが出されました。それから10年あまりの観測で、太陽系以外の惑星系の性質が次第に明らかになってきました。

これらの惑星に生命は存在するのか―この疑問にいよいよ挑戦するときです。TMTは、地球のような惑星の姿を直接とらえる観測に取り組むとともに、惑星の反射光や惑星大気を透過してくる星の光を分析することにより、惑星の表面や大気の組成を調べ、生命の存在を探ります。

現在検討が進んでいる Second Earth Imager for TMT (SEIT)という観測装置を使って、世界初の地球型系外惑星の直接撮像を目指します。詳しくは以下のページをご覧ください。

Second Earth Imager for TMT (SEIT)


50光年の距離にある太陽型星GJ758の周辺にみつかった惑星候補天体 (BとC : すばる望遠鏡による)

宇宙の夜明けを解き明かす

すばる望遠鏡は、宇宙誕生から10億年以内の時代の銀河を多数発見し、初期の銀河や銀河団の形成の理解を大きく前進させました。ビッグバン後から現在にいたる天体形成の歴史のなかで闇に包まれていた時代についに足を踏み込んできたのです。

TMTでは、宇宙で最初の星々からなる銀河を調べます。ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡は、宇宙初期の銀河を多数発見してきていますが、その正体を調べるには、TMTによる分光観測や補償光学を用いた高解像度観測が威力を発揮します。これにより、宇宙の夜明けの時を見るだけでなく、理解することが可能となります。


距離(赤方偏移)が確認されているなかでは最も遠方(最も宇宙の初期)の銀河の中の一つ IOK-1 (すばる望遠鏡による)

最大の爆発・ガンマ線バーストと超新星

最も波長の短い光であるガンマ線で突然明るく輝く現象は、ガンマ線バーストとよばれ、長年の謎とされてきました。大気圏外に打ち上げられたガンマ線望遠鏡と、すばる望遠鏡をはじめとする大型望遠鏡の連携により、その多くが巨大な爆発エネルギーをもつ超新星による、宇宙最大の爆発現象であることが判明しました。

宇宙初代に生まれた大質量星も、一生の最後に超新星爆発を起こし、ガンマ線バーストとして輝くとみられます。TMT はその爆発後に放たれる光を赤外線としてとらえ、宇宙の初代星の正体に迫ります。


赤方偏移6.3(距離128億光年)で起きたガンマ線バースト残光のスペクトル (すばる望遠鏡による)

(3) 日本の光学赤外線天文学とTMT

すばる望遠鏡との連携で威力を発揮するTMT

すばる望遠鏡と同じくマウナケア山に建設されるTMTは、すばる望遠鏡の広視野観測で発見される遠方銀河などの興味深い天体を詳しく観測することで大きな力を発揮します。2020年代以降のTMT時代には、すばる望遠鏡と連携した観測をTMTで実施し、日本の研究者が最先端の天文学をリードすることが期待されます。

国際協力のなか、日本は望遠鏡本体構造と主鏡の製作、および観測装置の一部の製作を分担する予定です。望遠鏡運用においても、ハワイに拠点をおいてすばる望遠鏡を運用してきた経験を生かすことができます。国立天文台はTMTの建設・運用にこれらの技術力と経験で貢献し、最先端の天文学を担うことをめざしています。