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公開講演会
「超大型望遠鏡TMTがぬりかえる宇宙像」(10/8 終了)


講演会ポスター(pdf; 772KB)

TMTで飛躍が期待される天文・宇宙物理の研究についての講演会が開催されました。東京・一橋講堂で開催されたこの講演会には、約350人もの方に来場いただき、大盛況でした。

TMT計画は、すばる望遠鏡の成果をうけて、初期宇宙での銀河形成、太陽系外惑星、宇宙論などの分野での新たな研究の展開を目指しています。これらは現在、すばる望遠鏡やALMA望遠鏡などでも取り組まれている分野です。そこで、TMTが稼働する2020年代にむけ、それぞれの分野でどのような進展が期待されるのか、その中でTMTはどのような役割を果たすのか、3人の講師の話を通じて参加者とともに考える講演会となりました。

講演会資料公開とアンケート回答 (10/30)

公開講演会で実際に使われた資料(一部編集済)を公開しました。またアンケートへのご協力大変ありがとうございました。お寄せ頂いた質問についての回答はこちらです。

講演(1) 宇宙で最初の星と銀河
家正則(国立天文台TMT推進室長)
講演資料(pdf; 3.7MB)
家氏の講演では、すばる望遠鏡をはじめとする大型望遠鏡の観測を支える技術 として、補償光学の仕組みと働きが説明されました。より大型のTMTで高い 解像度と感度を達成するには、補償光学が鍵となります。TMTの望遠鏡本体 および観測装置、国際協力の様子が紹介されました。 望遠鏡の話に続いて、これまでの遠方銀河の観測がどこまで達成されてきたのか 振り返り、より遠くの銀河を探すことで何を明らかにできるのかについて 解説されました。約130億光年(赤方偏移7)以上となると、ビッグバンからわずか 数億年の宇宙を見ることになります。この時代は宇宙で初めて星が誕生し、 銀河形成が始まった時期にあたり、輝く天体の存在しなかった「宇宙の暗黒時代」の 終焉を見ることになります。そして、宇宙史上の重要な出来事である「宇宙再電離」 の時期を特定することにもなります。講演ではTMTでどこまで観測できるように なるのかについて紹介されました。
講演(2) 太陽系外惑星に生命の存在を探る
田村元秀(国立天文台太陽系外惑星探査プロジェクト室長)
講演資料(pdf; 1.2MB)
田村氏からは、太陽系外惑星の探査方法とこれまでの発見の歴史の紹介に続き、 最近の研究の進展が紹介されました。ひとつは、すばる望遠鏡で進められている 太陽系外惑星の直接撮像と、惑星形成の現場である若い星のまわりの円盤の観測 です。これには、補償光学に加えて、星そのものを隠して周囲の暗い惑星や円盤 を写し出す「コロナグラフ」という装置が用いられています。また昨年、惑星を もつ星の候補を飛躍的に増やしたケプラー衛星の成果も紹介されました。 ケプラー衛星は、白鳥座の方向のある領域内にある星の明るさをずっと観測し 続けることにより、星の前を惑星が通過することにより一時的に星が暗くなる現象 を多数検出しています。最近では地球サイズに近い惑星をもつと見られる星まで 見つかってきています。 これらの成果をふまえ、「第二の地球」と呼べるような惑星をもつ天体を見つけ、 そこに生命の兆候をさぐることが今後の課題です。TMTには、今後見つかってくると 期待されるこのような惑星を分光観測することにより、植物の存在を示す 特定のパターンを検出できる可能性があることが紹介されました。
講演(3) ダークエネルギーの謎にどう挑むか
須藤靖(東京大学大学院理学系研究科教授)
講演資料(本人のホームページよりリンク)(pdf; 3.7MB)
須藤氏の講演は、人類はなぜ宇宙のことを知ろうとするのかという根源的な問い から始まり、目に見えないものはなかなか存在にすら気づかないという困難を 乗り越えて、いかに宇宙を調べ、ダークマターやダークエネルギーを認識するに 到ったのかについて概観しました。その中で、超新星の観測から明らかになった 宇宙の加速膨張を理解するには、重力理論(一般相対性理論)が正しいならば ダークエネルギーと名づけられている斥力(引力の反対)成分が必要となり、 それが宇宙の成分の大部分を占めてしまうことが説明されました。 このダークエネルギーの正体は、現状ではまったく不明で、その性質を知るには 天文観測しかないこと、その一つとして、多数の銀河の分布と形状を調べる すばる望遠鏡の観測(SuMIReプロジェクト)が期待されることが紹介されました。 一方、TMTに対しては、全く別のアプローチとして特定のクェーサーを詳しく観測 する研究への期待が述べられました。これは宇宙膨張の直接測定や物理定数が本当に 宇宙の歴史上変化していないかどうかの検証を行うことにつながる観測的研究です。

講演会の様子

開会にあたっては林正彦国立天文台長からの挨拶を、閉会時にはTMT協力評議会メンバーの Michael Bolte カリフォルニア大学教授から挨拶をいただきました。


林正彦国立天文台長による開会の挨拶

家正則氏による講演

講演会場の様子

Michael Bolte 氏による挨拶

講演会場では、アンケートに加えてTMT計画への「応援メッセージ」を多数いただきました。多数ご来場いただいたこととあわせて、TMT推進室メンバーはおおいに励まされました。ご来場いただいた方に感謝申し上げます。

主催
自然科学研究機構国立天文台
国立天文台の案内ページは以下:
http://www.nao.ac.jp/news/notice/2012/20120910-tmt-lecture.html
日時
2012年10月8日(月・祝日)13:00-16:00 (開場12:30)
場所
一橋記念講堂
東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター2階
地下鉄神保町駅 A8 出口から徒歩3分/竹橋駅 1b 出口から徒歩4分
リンク先: http://jigyou.zam.go.jp/rsvsys/rsv/pdf/pamphlet.pdf
趣旨

国立天文台は、すばる望遠鏡に続く次世代の大型光学赤外線望遠鏡として、TMT(Thirty Meter Telescope: 30m望遠鏡)プロジェクトを国際協力で進めています。口径30mの巨大な主鏡をもつこの望遠鏡は、光を集める能力や解像力で従来の望遠鏡を大きく上回り、人類の宇宙に対する理解を飛躍的に深めることができると期待されます。現代の天文学の大きな研究テーマ「宇宙初期の星・銀河形成」、「太陽系外惑星」、「宇宙論」に関して、TMTは何を明らかにしようとしているのか、3つの講演を通して考えていきます。

お問い合わせ
自然科学研究機構国立天文台TMT推進室
http://tmt.mtk.nao.ac.jp/
〒181-8588 東京都三鷹市大沢2-21-1
電話 0422-34-3756